9・11式典( ..)φメモメモ

整理しきっていないので、とりあえず、本当に未整理メモです。長文、悪文です。ごめんなさい。

9・11。NYのグラウンドゼロでの式典で、オバマ大統領が詩篇の46を詠みました。(ホワイトハウスの映像、テキストはこちら )

欽定訳(KJV)のテキストではありませんでした。
おそらく新キングジェームズ訳(欽定改訳ではないので注意。NKJVです)のテキストです。
珍しいですね。公の席で欽定訳を使わないアメリカ大統領。
(夜の大聖堂でのコンサートでは欽定訳から引用してました。こちらは、詩篇30:5(新共同訳だと6節)を引用しました)

ホワイトハウスさんのスタッフさん、公式サイトでの聖書のテキストは綴りを間違えています。
オバマさんもちょっと間違えてました。人間ですから仕方ありませんが、
以前もフォックスニュースに突っ込まれていましたが、オバマさん、よく聖書の引用を、
よみ間違えてしまいます。(フォックスニュースが間違っていたと、あげあしをとったら、
実は単に使った翻訳が違ったということでオバマさんが助かったニュース。ただ、調べてみたら大統領はちょっと読み間違えてたけどね。)
今の大統領は本人もスタッフも聖書に弱いらしい。
それなら、毎回、演説のたびに違う聖書翻訳というかテキストを使うのはやめましょう。
たしかに16世紀以来3000も英訳聖書の種類がうまれたわけで、どれにするか悩むところですが、
翻訳された古典から演説をするなら、政権全体でできるだけ同じ翻訳を使ってほしいですね。
それとも実は毎回変えるのには、政治的意図があるのでしょうか?それなら、すごい話です。

詩篇の46テキストそのものは「神はわたしたちの避けどころ、わたしたちの砦。苦難のとき、必ずそこにいまして助けてくださる。」(新共同訳)
ではじまることでよく知られていて、もう「避けどころ(refuge)」という言葉を聞いた時点でキターって感じで判断できますね。

オバマさん好きですね、この詩篇
以前も演説でつかってます。

記憶しているところで、今年初めのアリゾナ州銃乱射事件後のメモリアルサービスでの演説でもこの詩篇の一部46の4-6節を使いました。
ホワイトハウスの公式映像、テキストはこちら
で、その時はびっくりしたポイントは中身より、聖書のテキストがNIVだったこと。公のところで欽定訳以外を使うという事にこの時も驚きました。
(New International Version 近代訳としては、欽定訳以降、最も出回っている聖書ではないかと思う。とくにアメリカの福音派がお好きです。ま、評判は微妙といったところでしょうか)
NIVは好きな翻訳ではないですが、この時の演説は彼の演説の中でも最も評価の高いもので、確かになかなかな演説です。
また、話がそれましたが、この詩篇46というのは、一種のbattle hymnですね。
ユダヤ人に)襲いかかる様々な苦難を助けてくれる神を賛美し、万軍の主の助けがあるのだから冷静になるようにと促されているともとれるでしょうか?
いまだ国が困難の時にあるという事、しかし、自分たちには神がついていて必ず助けてくれるということ、だから負ける事はないという事を
この聖書から大統領はしめしたのでしょうか?

よって、ルター派をはじめとするプロテスタントに好まれる詩篇であり、
当然、旧約聖書なので、ユダヤ教イスラム教にも受け入れられる。
オバマさんにとってちょうどいい聖書の個所だったのでしょう。

ただ、テロとの戦いに勝つ事を暗示するより、世界の人々との融和、
アメリカ人の多分化への理解を啓蒙する事を期待してたので、ちょっとがっかり。
それと、演説上手なのに、聖書読むのは下手。これにもがっかり。ま、俳優さんじゃないから仕方ないけど・・・・

さて、いつか講義で使うためにも、も少し、詩篇46ネタを・・・

さて、この個所はルターが讃美歌「神はわがやぐら(Ein' feste Burg ist unser Gott)」
にした事でよく知られています。
メンデルスゾーン交響曲宗教改革」のクライマックスに使っているし、バッハやドビュッシー
ワグナー、ヴォーン・ウィリアムズマイヤベーアのオペラ「ユグノー教徒」にも出てくるし、
数え切れないほどの作曲家ががこの曲を利用した事でもよく知られてます。
(英語だとA Mighty Fortress Is Our Godとなります)
ルターの書いた「神はわがやぐら」の歌詞を読むと、古い悪い敵の攻撃に地上で勝てるものはいないとか、
最後では主は私たちとともにあり、しかも神の国キリスト者のものと歌い上げる。
宗教改革を支持した人々にとってにとって、まさにbattle hymnであるので、
上記の交響曲やオペラにも使われたのだと思います。
(ただし、現在はカトリック教会でもこの歌はとりいれられている)

ルターの讃美歌はマイルズ・カヴァデール(Myles Coverdale 1488-1568)によって、
最初に英訳をされたとウィキではいっています。

詩篇の英訳はカヴァデールによるものが流布したので、
そういわれても不思議はありませんね。
(ティンデルは(ウィリアム・ティンダル)はモーセ五書程度しか訳してないので、
旧約の英語訳はカヴァデールによって完成しています)
この英語の詩篇は公認訳の聖書はもちろんのこと、
1549年の祈祷書から組み込まれているわけですが、欽定訳が普及してからでも、
祈祷書は欽定訳がなかなか反映されず、カヴァデールの訳がわりと長く使われていたと考えられます。

他の聖書の個所と違って祈祷書における詩篇の役割を考えると、
実はカヴァデール訳の聖書翻訳って再評価できるということでしょうか?
あまり考えた事はなかったのですが、この辺りは調べてみると面白そう。

ただし、讃美歌は訳してないのではないでしょうか?
確かに、カヴァデールは確かにルター派の讃美歌を翻訳しています。
しかし、一度、カヴァデールの翻訳した詩編と讃美歌をまとめたものをよみましたが、
詩編46の訳はありましたし、ルター派の有名な讃美歌はありましたが、
「わがやぐらは」なかったと思います。

もうひとつ、詩篇46の朗読でも聞こうと思って、ようつべ見ていたら、忘れていたネタを発見。
英語というと意地でもシェークスピアと関連付けたい人が古くからいて、
そういう人たちの中で詩篇46は特別なのです。

詩篇46の欽定訳で、数えて46番目の言葉がshakeで、後ろから数えて46番目speareなので、
シェークスピアとなるので、実は欽定訳に彼が関わったとする説が存在しました。
しかも、欽定訳出版の前年1610年に彼は46歳だったので、
偶然なわけがないと考えてもいたようです。

はー、シェイクスピアコードってとこでしょうか?
これで、映画か小説でも作れますっていう感じですね。

この詩篇46はカヴァデールの訳のマイナーチェンジしかされてないので、
まず、シェークスピアとの関係はないでしょうね。
カヴァデール訳だとspeareはそのままで、確かshakeはshokeとなってると思います。
本当に、こういう暗号っぽいのが好きな人、多いですね。
いまだにようつべに出てくるとは驚きです。私も忘れてました。
で、ネタになりそうなので、忘れないうちに( ..)φメモメモメモ

あー、まとまらないけど、色々勉強したオバマさんの演説でした。
ちなみに、オバマさんの使ったNKJVでも46番目の言葉は同じです。

オバマさんのおかげで講義のネタも増えて、ありがたかったですが、
9・11に対する姿勢はまだ戦いなんですね。
理解と融和という方向に向いてほしいですね。