Gore Vidal''The Best Man"

先週からpreview(本式に開演する前の準備期間、ちょっとチケットが安かったりしたりするが、期間は短いかな?)のはじまった舞台のマチネにいってきました。アメリカというよりはヨーロッパで良く知られる作家で、脚本家で、エッセイストGoreVidalの”the Best Man”です。
1960年のフィラデルフィア民主党大会を舞台にした、二人(現職の国務長官、人気上昇中の若手の上院議員)の候補者と、その配偶者、元大統領、影響力のあるお金持ちの女性を中心に話はまわっていきます。
このタイミングでやるのが面白いですね。会場はもちろん党大会っぽくなってて、劇場の案内してくれる人もそれっぽいファッションです。
ただ、有名人が出過ぎるので、なんか物見遊山の人が多くて、ちょっとがっかり。
VIdalについてはひどく差別的にまとめると、有名な政治家一家にそだっていること。ゲイであることとゲイをテーマにあげて小説が物議をかもしたせいで、
アメリカより海外での方が知られていること、ジャクリーンとは縁戚関係ある、なのにJFKとその親族が嫌いということ。
予言の話とかカルトの話、そのほか一般的なことはウィキペディアで詳しくお読みください。
よって、この話の若い上院議員は当然JFKが主なモデルと思われます。
ただ、見ているうちに現在話題のサントラム候補とかぶってきます。
ま、人々の代表といいながら、家族の価値については公言するし、神を信じているとはいうけど、税金どうするかはよくわからない。
そして、メディアでのイメージを気にして、ライバルの攻撃にはどんな手でも使う攻撃的な人です。
これに対して、国務長官である候補者は知識階級の代表みたいなひとで、相手の欠点を攻撃に使えないような良識の人として描かれます。ここに、その二人のどちらかを支持することを決める元大統領が描かれます。おそらくモデルはトルーマンと思われます。
国務長官は神経衰弱、JFKくんは第二次大戦中で陸軍で女性がいないので・・・(ご想像ください)ということが、それぞれのウィークポイントです。
ちなみに神経衰弱は、単に過労のようにうけとれますが、JFKの方は実際あったと考えられるけど、問題の人物が死んでいるのでということで、
いちおう、もみ消そうと思えばどうにかなるけど、それを政治闘争に使うか使わないかをそれぞれのサイドの視点で描きます。
で、大統領はそんな状況のなか、どうなるか、そして・・・(戯曲をよむか、映画でお楽しみください)
この事件を通じて国務長官と妻がどのように関係を結んでいくのか、気持ちを変えていくのかが、とてもなめらかに描かれているのが、
評価できます。
ただ、大統領はなぜか今回、James Earl Jonesさんが、演じていて、多分オリジナルと違って、南部出身らしい感じのアフリカ系として演じています。
でも、それってどうなの?ちょっと変な気がします。もともと彼の声が生で聞いてみたかったという気持ちもあったのですが、
ちょっと、当時としてはあり得ない設定だし、原作では設定がトルーマン的だとおもわれるのに、正直、その設定は納得できませんでした。
vidalは認めたんだろうか?
さて、なぜこれを見ることにしたのかは政治風刺は私の大好物ですが、今回は完全に萌え声がそろうからです。
ジョーンズさんも大好きな声です。ただ、かなりお年を召しているので、
ふがふがな感じでした。それに出だしはちょっとろれつも回ってない感じ、
それは演技なのか本当にそうなのかはわかりませんが、はっきり台詞がわからなかった。
私にとっての萌え声は国務長官夫妻。
夫人は、キャンディス・バーゲン。あのハスキーな声、大好きです。そしてなにより、国務長官はジョン・ラロケット(John Larroquette)でした。
うぉー、去年もきたとき、ミュージカルやってたけど、それはハリポタの子とやってる上に基本ミュージカルはだめなので、いきませんでしたが、
ぜったい、彼の生声が聞きたいと思っていたので、うれしかった。きゃー!!
あ、若い政治家はウィル&グレイスのウィル君。そして、お金持ちの女性はアンジェラ・ランズベリーさんでした。
ウィル君よかったけど、あの声は萌えないのよね。
アンジェラさんは絶対80代と思いますが、よかったですよ。ほんと、脱帽ものでした。
全体オールドファッションでいいけど、いまひとつ乗り切れなかった。なんだろう、不自然さのある舞台でした。なんだろう、民主党大会なんだけど、サントラム候補があたまから離れなかった。
帰りにトートバッグとTシャツをクマのお土産に買いました。本当の、党大会っぽいグッズだったので・・・
Vidalの戯曲を読みなおさなきゃと思いました。