khovanshchina

オペラ「ホヴァンシチーナ」をMetに見に行きました。これ、ずっときになってたオペラの一つなんです。
ムソルグスキーの未完の遺作です。未完のため、リムスキー・コルサコフショスタコービッチなど
ロシアの音楽史を凝縮した人物たちに作り上げられたということでしょうか?
まず、音楽が面白い。ムソルグスキーの時代にはおよそなさそうな現代音楽の響きが、とてもよい。
それに、ロシアものらしい、派手なコーラス。いいですよね。
話も面白すぎる。17世紀史実をもとにむりやりラブスートーリーを入れ込んでいるのですが、
作られた時代の政治的見解など垣間見え、おもしろい。政治的に追い込まれた王子の話ですが、
さらに改革された宗教に異を唱える旧教を信じて、守ろうとするグループが挟まれ、
昔からロシアに多かったドイツ人の話も含まれる。
とくに、ホヴァンシチーナのどうしようもない息子がドイツ人の娘に恋をする訳ですが、
彼女はルター派の娘と呼ばれます。うーん、オペラからだと明確にルター派かどうかわからないですよね。
単に、正教会ではない、異端としてドイツから来ているからルター派の娘と読んでるような気もしました。
しかも、このルター派の娘に恋する王子。どうしようもない。彼の婚約者であった女性をうらぎりまくってきて、
それでも彼女は彼を助け、最後は一緒に殉教するわけですが、そこにいたっても彼女の名前ではなく、
ルター派の娘の名前を呼ぶ。
はり倒したくなります。prince charming has no brainという感じです。
どうしようもない男はオペラにつきものですが、彼はかなりひどいですね。
もちろん、歌はどれもすばらしかった。私は特に旧教の指導者としてでてくるバスの人の声が気に入りました。
7時に始まり、終わったのは11時過ぎでしたが、そんな時間も忘れるほど、堪能しました。