複数の意味

2月に気にいって歌っていたwe shall overcome。日本語訳の賛美歌があるとも書きましたが(それについては2月11日に書きました)、この訳詞はちょっと、本来の意味からずれていると思います。この歌はプロテストソングとしての地位を確立していますが、本来の歌詞は非暴力的で、心のもちようを提示している歌だと思います。ところが、日本語訳だと強気に勝利を求めていて、平和的な雰囲気が消えてしまっていて歌う気になれません。日本語訳だと平和的に抗議する集会で歌う事は出来ないと思います。
しかし、こういうかけ離れた訳詞って案外多いですよね。おもしろくもあり、疑問にも感じる存在です。
また、訳詞ではなく、まったう違う歌詞をもつ有名な歌も多いですよね。最近、よくYoutubeで聞いていたのは英国の国歌「God save the queen」のメロディで歌われる「My Country, 'Tis of Thee」です。この歌のタイトルはご存じない方もいるかもしれませんが、「星条旗よ永遠なれ」が合衆国の国歌となるまで国歌の役割を担っていた歌で「America」とも呼ばれていますす。いまでも愛国的歌として、そういう場でよく歌われているようです。
今年の大統領就任前に行われたリンカーンメモリアル前でのコンサートではジョシュ・グローバンとヘザー・ヘッドリーが 歌っていました。ジョシュの声が好きなので聞いていますが、このときにはバックにゲイコーラスのみなさんがつきました。ま、教育的によくないだとか、不道徳的だとよくわからないケチをつけている人もいたようです。愛国的な歌ですから、そういうのが好きな方で同性愛に肯定的な方は少ないのかもしれません。しかし、みなさんお揃いの赤いネクタイに夢見るような目つきで子供の発表会をみているようなかわいらしさ。ジョシュとアフリカ系女性のヘザーとゲイコーラスという何か不思議な取り合わせが魅力的。一見の価値があると思いますよ!

なぜ、今日その話かというと1939年のイースターの日にリンカーンメモリアルでアフリカ系女性声楽家のMarian Anderson がこの歌を歌ったからです。
彼女が歌を披露するのにDAR(Daughters of American Revolution)らによって人種差別的観点から反対にあい、そのメンバーであったルーズベルト夫人を始め多くのメンバーがDARから脱退します。そして最終的にルーズベルト大統領夫妻臨席の下、この歌をイースターの日曜日披露した事はよく知られているからです。(後に彼女の家族とDARとは和解している)当時の有色人種に対する差別の状況を考えると、大きな出来事だったと言えるでしょう。
ちなみに、オバマさんの就任式ではアレサ・フランクリンがこの歌を歌いました。黒人女性がこの歌を歌うのには前述の事からも良い人選だと思いますが、デイリー・ショーでも馬鹿にしてましたが、あの格好(とくに帽子がすごすぎ!)がちょっと怖くて動画は遠慮します。怖いもの見たさ、純粋に歌声だけ聴きたい方は様々な動画共有サイトで見られると思うので、探してみてください!