Military Bible-Gn-Armed Forces
クマに世界史用語集で「あぶら」に「膏」の字を使っていると言われてビックリ。
文語訳?一般に知られている聖書由来の言葉の多くは文語訳ですね。
しかし、今、出回っている共同訳(聖書)は膏ではなく、油が使われています。
実際に新約聖書で油が使われている箇所をクマにみせようと、ルカ4:18を選んで、日本語の口語訳、岩波訳、共同訳を開いてみました。
岩波「主が私に油をそそがれたゆえ」
共同訳も「主がわたしに油をそそがれたから」
口語訳のみ「わたしを聖別してくださったから」
英語を見てみると、
ティンダル訳(tyndale)"because he hath anointed me "
欽定訳(AV/KJV)もティンダル訳と同じ、アメリカ標準訳(ASV)もほぼ同じでhathが抜けるだけでした。
つまり英語はどれもanointが使われているわけですが、この言葉は油を注いで清める、聖別するという意味です。
そうすると、日本語訳の口語訳も決しておかしな訳という事はないでしょうし、恐らくは(原典というより)anointを日本語訳したのではないでしょうか。(the anointedとするとクマの言っていた用語集に出てくる膏そそがれし者、つまりキリストと解釈される訳です)
しかし、最後に手近にあったGood News Translation(GNT /GNB/TEV)を見てみると、”because he has chosen me ”となっていました。どうしてそうなんのよ。確かに油を注ぐ事は聖別されるということで、選ばれるという事になるわけですが、飛び過ぎ。
この訳は現在、最もポピュラーと言われている訳ですが、何とかして欲しいです。クマの一言から、何やら翻訳への怒りへと変化しちゃいました。GNTって原典はおろか、16世紀以来の聖書の英訳の歴史的蓄積を無にしている気がします。ティンダルが泣いてます!

ちなみに、話はずれてしまいますが、私の持っているGNTはアメリカ軍用版です。画像の様に迷彩柄の表紙で下の方に左から陸・空・海軍の紋章が入っています。
もちろん、本文以外にそれぞれの軍のチャプレンの前書きや、軍人さん向き賛美歌やら祈り、また「偉人(リンカーンシュヴァイツァービリー・グラハム(ある種の人によっては彼は偉人といえるでしょう)など)」の言葉、聖書の勉強に関する記述などが含まれていますし、「合衆国軍隊の規範」(Code of the U.S. Fighting Force)ものっているという面白い版です。
聖書翻訳と軍ってつながりがあると思うのですが、とそれはまた別の機会に