「歴史が盗まれる stealing history」

上記のタイトルのノルウェー制作のドキュメンタリーをBSで見ました。
ロンドンを中心に盗掘されるなどして違法に取引される美術品を取り上げていました。
違法と言っても実際には盗まれたものを展示しているという事が日本でもあったりしますし、世界的かつ解決の難しい問題です。
ノルウェーの大立て者Martin Schoyenは死海文書を含む世界最大といわれる写本(manuscript )の個人コレクションを有していますが(サイトはこちら)、そのコレクションの一部がそういった盗掘され密輸された写本や遺物であることを疑っているのがこの番組の中心でした。
特にアラム語の宗教的文書が書かれた土器、アフガニスタンから出て来た仏教写本を手にした過程を明らかにしようとしていました。
確かに良い状態で保存されて研究も出来る状況にある方が良い面も多い訳ですし、タリバンから貴重な仏教文書を救ったのかもしれないですが、結局、アフガニスタンの小さな村では小銭を稼ぐため盗掘するものや、逆に恐れて写本を燃やしたという話しも出ていました。
ごく一部救われても最終的には遺跡の破壊につながっているわけですね。
私が研究している初期の印刷された英訳聖書の多くも切り刻まれています。
数年前、聖書コレクターの億万長者が亡くなった後、そのコレクションの一部紛失やネット販売に流失、転売の末、行方がわからなくなったり、テーマパークに売られたりなどされて貴重な史料の破壊と紛失を目の当たりにしたこともあります。こういう問題は歴史や美術資料には常にある問題ですね。
歴史を盗み破壊するというのは過去の文化を破壊するだけでなく、人の生活や心を破壊する事を再認識しました。
ちょっとずれるけど、番組では問題のSchoyenのコレクションを調査および出版をした世界中の学者たちの集合写真が何度も出ていました。(番組のインタビューに答えているのは責任者らしいノルウェーオスロ大学の先生でした。)
何だか日本人らしき先生が写っていたのが気になって探してみると、やはり日本の仏教系大学の先生でした。もちろん、その先生は純粋に史料の研究として関わった訳で、批判するとか言う事ではなく、先生自身はschoyen氏にも面識があるのでしょうし、このコレクションの陰の部分について何かご存知なのかな?
ちなみに、今月もう一回再放送があるらしいので次はちゃんと見ようっと!