In mourning

大人になったためなのか、人の死に接する事が増えているような気がします。
今日もまた、私がお世話になった方が亡くなった事を知りました。
亡くなられたのは、イギリスの某学会の副会長であった准男爵爵位をもった紳士です。(准男爵は厳密には貴族ではないらしいのですが、爵位としてはバロンの下、ナイトより上で世襲されます。)背が高く、小さな顔でいつも貴族的ではあるけれど洒落たファッションに身を包み、とても茶目っ気とユーモアのある方でした。
私は学会でとてもかわいがっていただきました。発表のときは必ず一番前に座ってくださって、励ましていただきましたし、忙しい中、時間を割いて発表を聞きに来てくださったこともあり、そういう優しい方のおかげで私は日本人のいない外国の学会で発表する勇気をもてた気がしています。
准男爵は書いても話しても人を惹きつける方でしたが、パブやレストランで大騒ぎしたりした際などに話していただいたくと、さらに陽気で楽しいものでしたし、ベルギーで一緒に電○の運賃をごまかした(!?)のも良い思い出です。
特に記憶に残っているのは、電話の話。准男爵の子供の頃、お父様は文明の利器を大変嫌い、品の悪い物と考えていたらしく、電話を馬小屋においていたという事で、執事がいつも大変だったという話。私が言うとつまらないのですが、実際に電話をどう使っていたか説明していたときのお話ぶりと茶目っ気たっぷりなお顔を思い出します。
また、学会で寄付金や協力を求める文章を書かれるのがとても上手で准男爵の書いた手紙を断る方はとても少なかったのではないでしょうか?
もう、お会い出来ないのがとても不思議な気がします。遠い外国に住んでいると、葬式にも、病床にもいけないし、お世話になった事に対して、お礼も申し上げられないのが、残念です。
せめて、哀悼の意と感謝をこめて、ここに書かせていただきました。
准男爵についてはこのブログの2005年9月16日17日にも出てきます。また、新聞タイムズのHPにも追悼文がこちらにでていました。)